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チーズ輸入の仕組みとは?|EPA活用と輸入手続きにおける注意点

  • DATE
  • 2025/12/03

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      みなさん、こんにちは!フライングフィッシュの広報担当です。最近、日本では世界各国のチーズを楽しむ機会が増えていますね。実は日本は世界有数のチーズ輸入国で、その輸入量は年々増加しています。でも、チーズを海外から輸入するには、複雑な手続きや規制をクリアする必要があるんです。

      今回は、チーズ輸入の基本的な仕組みから、EPA(経済連携協定)を活用した関税削減の方法、そして輸入手続きで注意すべきポイントまで、詳しく解説していきます!世界各国の美味しいチーズを日本に届けるために必要な知識を、一緒に学んでいきましょう。

      世界の主要なチーズ産地と直近の生産動向

      チーズは世界各地で生産されており、それぞれの地域で独特の製法や風味が育まれています。日本へのチーズ輸入を考える際には、各産地の特性を理解することが重要です。

      世界のチーズ生産ランキングと最新動向

      2022年の世界チーズ生産量(プロセスチーズを除く)は約2,550万トンに達し、国別では米国が第1位、ドイツが第2位、フランスが第3位となっています。EU全体では前年比0.9%増の950万トンを生産しており、米国を上回る規模です。

      特筆すべきは中国の急成長で、2022年には前年対比37%という驚異的な増産を記録しました。中国では国内需要の拡大を背景に、チーズ生産への投資が急速に進んでおり、今後の国際市場に大きな影響を与える可能性があります。EU内ではポーランドが9.1%増、デンマークが2.6%増と堅調に伸びている一方、ドイツでは1.3%減、フランスは前年並みと、国によって明暗が分かれています。

      日本のチーズ輸入相手国の最新状況と変化

      2022年のチーズ輸入量で、日本は世界第3位の輸入国です。日本のチーズ輸入は年々増加傾向にあり、多様な国から輸入されています。

      日本の国別チーズ輸入量では、第1位がニュージーランド(約6.0万トン)、第2位がオーストラリア(約5.9万トン)となっており、オセアニア2カ国で日本の輸入量の4割以上を占めています。両国はプロセスチーズ原料用のチェダーやゴーダ、モッツァレラなどのフレッシュチーズを中心に、コスト競争力の高いチーズを安定供給しています。続いて第3位がアメリカ(約4.0万トン)、第4位がオランダ(約2.8万トン)、第5位がデンマーク(約1.6万トン)となっています。

      アメリカのチーズ生産と対日輸出の拡大

      アメリカは世界最大のチーズ生産国であり、2022年には約630万トンのチーズを生産しました。これは欧州上位3カ国(ドイツ、フランス、イタリア)の合計を18%上回る規模です。生乳生産量でも世界第2位を誇り、年間1億2千万トン以上の生乳を生産し、そのうち約16%をチーズや乳製品として輸出しています。

      アメリカ産チーズの特徴は、モッツァレラ(生産量の34%)とチェダー(同29%)が主力である点です。これらは業務用市場を中心に世界各国で活用されており、特にモッツァレラはピザなどの外食産業で高い需要があります。近年は小売市場やプロセスチーズ原料用としても浸透が進んでいます。

      イタリアのチーズの特徴

      イタリアは世界有数のチーズ生産国として知られており、パルミジャーノ・レッジャーノやモッツァレラ、ゴルゴンゾーラなど、日本でも人気の高いチーズを数多く生産しています。イタリアからの輸入には、DOP(原産地名称保護)認証を受けた高品質なチーズが多いのが特徴です。

      ベトナムからのチーズ関連製品調達の強み

      ベトナムは近年、乳製品産業が急速に発展している国の一つです。まだチーズの主要輸出国とは言えませんが、加工食品や乳製品原料の調達先として注目を集めています。特に、コスト競争力のある製品を求める日本企業にとって、魅力的な選択肢となっています。

      欧州全体の産地トレンド

      欧州は世界最大のチーズ生産・輸出地域であり、フランス、ドイツ、オランダ、デンマーク、スペインなど、各国が独自の強みを持っています。フランスのカマンベールやブリー、オランダのゴーダ、デンマークのクリームチーズなど、日本市場で定番となっているチーズの多くが欧州産です。

      欧州からの輸入では、日EU・EPAの活用により大幅な関税削減が可能になりました。フライングフィッシュでは、イタリア、ベトナムをはじめ欧州各国に駐在員を配置し、現地メーカーとの交渉、原産地証明書などの必要書類準備、EPA活用による関税削減手続き、温度管理された輸送、食品衛生法に基づく輸入届出、国内表示対応まで、チーズ輸入のあらゆるプロセスを日本語で一貫サポートしています。海上輸送、航空輸送、さらには鉄道を組み合わせた複合輸送まで、商品特性と納期に応じた柔軟な輸送手段を提案できるのが私たちの強みです。

      その他の世界各国の産地動向

      オーストラリアとニュージーランドは、日本への安定的なチーズ供給国として重要な位置を占めています。両国は大規模な酪農経営により、コスト競争力の高いチーズを年間を通じて供給できるのが特徴です。また、アメリカやカナダからの輸入も増加傾向にあり、多様化する日本の消費者ニーズに応えています。

      さらに、南米のアルゼンチンやウルグアイ、中東のトルコなど、新興産地からのチーズ輸入も注目されています。

      チーズ輸入におけるEPA活用のメリット

      EPA(経済連携協定)の活用は、チーズ輸入のコスト削減において非常に重要な要素となっています。特に2019年2月に発効した日EU・EPAは、欧州産チーズの輸入に大きな変化をもたらしました。

      日EU・EPAによる関税削減効果

      日EU・EPAの発効により、多くのチーズで段階的な関税削減・撤廃が実現しています。例えば、ゴーダやチェダーなど主要なナチュラルチーズは、発効前に最大29.8%の関税が課されていましたが、16年目までに段階的に撤廃されます。モッツァレラなど一部のソフトチーズは、関税割当枠の中で無税となる仕組みです。これにより、輸入コストの大幅な削減が可能となり、より競争力のある価格で欧州産チーズを日本市場に提供できるようになりました。

      ただし、EPA特恵関税を適用するには、原産地証明書を取得し、税関に提出する必要があります。フライングフィッシュでは、原産地証明書の取得から税関への申告まで、EPA活用に必要な手続きを一貫してサポートし、確実な関税削減を実現します。また、商品によって異なる関税率や適用条件についても、専門知識を持つスタッフが最適なアドバイスを提供します。

      その他のEPA・FTAの活用可能性

      日本は欧州以外にも、オーストラリア、カナダ、メキシコなど、チーズ生産国との間でEPAやFTAを締結しています。これらの協定も適切に活用することで、輸入コストの削減が可能です。例えば、日豪EPAではオーストラリア産チーズの関税が段階的に削減されており、長期的な調達計画において重要な選択肢となっています。

      各協定には異なる原産地規則や手続き要件があるため、どの協定を活用するかは慎重に検討する必要があります。

      チーズ輸入の基本的な手続きフロー

      チーズを日本に輸入する際には、食品衛生法や動物検疫など、複数の法規制をクリアする必要があります。ここでは、輸入手続きの基本的な流れを解説します。

      輸入前の準備と必要書類

      チーズ輸入を始める前に、まず輸入者として必要な体制を整える必要があります。業種や事業形態によっては、食品衛生法に基づく営業許可の取得や食品衛生責任者の配置が必要になる場合があります。また、輸入するチーズの種類によって必要な書類が異なるため、事前の確認が重要です。

      必要な書類の一例として、以下のようなものがあります。

      • 製造工程表(チーズの製造方法を詳細に記載したもの)
      • 原材料配合表(使用されている原材料とその割合)
      • 衛生証明書(輸出国政府機関が発行)
      • 成分分析表(栄養成分や微生物検査結果など)
      • 原産地証明書(EPA活用時に必要)

      これらの書類は輸出国側で準備する必要があるため、現地メーカーとの事前調整が非常に重要です

      動物検疫の手続きと注意点

      2017年11月から、プロセスチーズを除くほぼすべてのチーズが動物検疫の対象となりました。これにより、チーズを輸入する際には、到着空港や港の動物検疫所で検査を受ける必要があります。動物検疫では、輸出国政府機関が発行した衛生証明書の確認と、必要に応じて現物検査が行われます。

      動物検疫で特に注意すべき点は、検査を受けられる空港・港が限定されていることです。主要な空港では成田、羽田、関西、中部、福岡などが、港では横浜、東京、神戸、大阪、名古屋などが指定されています。輸送ルートを計画する際には、これらの制限を考慮する必要があります。また、検査には時間がかかる場合があるため、納期に余裕を持った計画が重要です。

      食品衛生法に基づく輸入届出

      チーズを含むすべての食品は、輸入時に厚生労働省検疫所への輸入届出が義務付けられています。この届出では、製品の詳細情報、製造工程、原材料、添加物などについて申告する必要があります。初回輸入時には特に詳細な審査が行われ、場合によってはサンプル検査も実施されます。

      食品添加物基準への適合も重要なポイントです。日本と海外では使用可能な添加物が異なるため、事前の確認が必要です。

      通関手続きと関税の支払い

      動物検疫と食品衛生検査をクリアした後、税関での輸入申告を行います。この際、HSコード(関税番号)の正確な分類が重要となります。チーズの種類や脂肪分含有量によってHSコードが異なり、適用される関税率も変わってきます。EPA活用時には、原産地証明書の提出も必要です。

      通関手続きでは、インボイス、パッキングリスト、船荷証券(B/L)または航空運送状(AWB)などの貿易書類も必要となります。これらの書類に不備があると、通関が遅延し、保税地域での保管料が発生する可能性があります。

      チーズ輸入における温度管理の重要性

      チーズは温度に敏感な食品であり、輸送中の温度管理が品質保持の鍵となります。適切な温度管理ができていないと、風味の劣化や微生物の繁殖など、深刻な品質問題につながる可能性があります。

      冷蔵コンテナによる海上輸送

      チーズの国際輸送で最も一般的なのが、冷蔵コンテナ(リーファーコンテナ)を使用した海上輸送です。冷蔵コンテナは、設定温度を一定に保つことができ、長距離輸送でも品質を維持できます。一般的に、ナチュラルチーズは5~10℃程度で管理されます。チーズの種類によって最適温度は異なりますが、いずれも10℃以下での冷蔵管理が基本となります。

      海上輸送では、欧州から日本まで最低でも1か月半を要しますが、その間も安定した温度管理が可能です。

      航空輸送での温度管理対策

      高級チーズや少量輸入の場合、航空輸送が選択されることもあります。航空輸送は輸送時間が短いという利点がありますが、空港での待機時間や積み替え時の温度管理が課題となります。特に夏季は外気温が高く、短時間でも品質に影響を与える可能性があります。

      航空輸送では、保冷ボックスやドライアイスを使用した温度管理が一般的です。しかし、ドライアイスは航空危険物に該当するため、使用量に制限があります。

      チーズの種類別輸入規制と注意事項

      チーズは種類によって異なる規制が適用されるため、輸入する商品に応じた対応が必要です。ここでは、主要なチーズの種類別に、輸入時の注意点を解説します。

      ナチュラルチーズの輸入規制

      ナチュラルチーズは、動物検疫の対象となる代表的な乳製品です。モッツァレラ、カマンベール、ゴーダなど、多くの人気チーズがこのカテゴリーに含まれます。ナチュラルチーズの輸入では、製造工程や熟成期間によって、必要な検査項目が異なることがあります。

      特に注意が必要なのは、ソフトタイプのナチュラルチーズです。水分含有量が高いため、リステリア菌などの微生物リスクが高く、厳格な検査が実施されます。輸出国での製造段階からHACCP衛生管理が適切に実施されていることを確認し、必要な検査証明書を準備することが重要です

      プロセスチーズの取り扱い

      プロセスチーズは、ナチュラルチーズを加熱溶融して製造されるため、動物検疫の対象外となっています。このため、ナチュラルチーズと比較して輸入手続きが簡略化されるという利点があります。ただし、食品衛生法に基づく輸入届出は必要であり、使用されている乳化剤などの添加物が日本の基準に適合している必要があります。

      プロセスチーズは保存性が高いため、温度管理の面でもナチュラルチーズより扱いやすいという特徴があります。しかし、品質保持のためには適切な温度管理が必要であり、一般的には常温保存可能な商品でも、輸送中は25℃以下での管理が推奨されます。

      チーズ輸入後の国内流通における注意点

      チーズを無事に輸入できても、国内での流通には別の規制や注意点があります。適切な表示や品質管理を行うことで、消費者に安心・安全な商品を提供できます。

      食品表示法への対応

      輸入したチーズを日本国内で販売する際には、食品表示法に基づく適切な表示が必要です。名称、原材料名、内容量、賞味期限、保存方法、原産国表示、輸入者名などを日本語で表示する必要があります。特に、アレルギー物質である「乳」の表示は必須であり、その他のアレルゲンが含まれる場合も適切に表示する必要があります。

      また、栄養成分表示も義務化されており、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の5項目を表示する必要があります。

      チーズ公正取引協議会の表示基準

      チーズの表示については、チーズ公正取引協議会が定める「チーズ類の表示に関する公正競争規約」も遵守する必要があります。この規約では、チーズの種類別の定義や、「ナチュラルチーズ」「プロセスチーズ」といった表示方法が細かく定められています。

      例えば、ナチュラルチーズと表示するためには、乳を乳酸菌で発酵させた後、加熱処理をしていないものでなければなりません。また、特定の地域名を冠したチーズ(パルメザン、ゴーダなど)については、その地域で製造されたものでなければ、その名称を使用できない場合があります。これらの規定を理解し、適切な表示を行うことが、消費者の信頼獲得につながります。

      まとめ

      今回は、チーズ輸入の仕組みからEPA活用、そして輸入手続きの注意点まで、幅広く解説してきました。チーズ輸入は複雑な手続きが必要ですが、適切な知識とサポートがあれば、世界各国の美味しいチーズを日本の消費者に届けることができます。

      • 世界各国の産地特性を理解し、最適な調達先を選定する
      • EPA活用により大幅な関税削減が可能
      • 動物検疫と食品衛生法の手続きは必須
      • 温度管理が品質保持のカギ
      • 国内流通では適切な表示が重要

      フライングフィッシュは、欧州・アジアを中心に世界各国に幅広く対応できる国際物流企業として、チーズ輸入のあらゆる場面でお客様をサポートします。現地駐在員による日本語でのきめ細かなサポートと、海上・航空・陸上すべての輸送手段に対応できる柔軟性で、お客様の輸入ビジネスの成功に貢献します。

      チーズ輸入についてのご相談や、具体的な輸送プランのご提案をご希望の方は、ぜひフライングフィッシュまでお問い合わせください。豊富な実績と専門知識を活かし、お客様のニーズに最適なソリューションをご提供いたします!

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