▲ 目次に戻る

食品の輸入にかかる関税を徹底解説|コスト削減と通関の必須ポイント

  • DATE
  • 2025/07/02

  • TAG
  • お役立ち情報

    みなさん、こんにちは!フライングフィッシュの広報担当です。食品輸入を検討されている企業の皆さまから、「関税はどれくらいかかるの?」「コストを削減する方法はあるの?」といったご質問を数多くいただきます。食品の輸入には複雑な関税制度が関わるため、事前の理解が事業成功のカギとなります。今回は、食品輸入における関税の仕組みから具体的なコスト削減テクニックまで、実務で役立つ情報を詳しく解説いたします!

    食品輸入における関税制度の基本知識

    食品の輸入を成功させるためには、まず日本の関税制度の全体像を把握することが重要です。

    関税制度の2つの機能

    関税制度には2つの大きな役割があります。第一に国の歳入を確保する「財源機能」、第二に輸入品の価格を引き上げることで国内の同種製品を保護する「産業保護機能」です。

    特に食品分野においては、工業製品と比較して高い関税率が設定されているのが特徴です。これは国内農業の保護という側面が強く反映されているためです。

    HSコードによる商品分類システム

    食品輸入時に必ず理解しておかなければならないのがHSコード(国際的な商品分類コード)です。このコードは6桁の数字で構成され、世界共通の商品分類システムとして使用されています。

    例えば、以下のような分類になっています。

    • 第01類~第24類:農産品、食品、飲料など
    • 第25類~第27類:鉱物性生産品
    • 第28類~第38類:化学工業生産品
    • 第39類~第40類:プラスチック、ゴム製品

    食品の場合、該当するHSコードを事前に正確に把握し、そのコードごとに設定されている関税率を確認することで、正確なコスト計算が可能になります。

    関税率の種類と適用条件

    関税率には複数の種類があり、輸入する商品や原産国によって適用される税率が変わります。基本税率のほかに、特恵税率、協定税率、暫定税率などが存在します。

    これらの中から最も低い税率が自動的に適用されるため、事前にどの税率が適用されるかを確認しておくことが重要ですよ。

    食品輸入時に発生する税金の計算方法

    食品輸入では関税だけでなく、複数の税金が発生することを理解しておく必要があります。

    関税と輸入消費税の仕組み

    食品を輸入する際に支払う税金は「関税+輸入消費税の合計」となります。輸入消費税は、関税を含めた金額に対して課税されるため、関税が高いほど消費税額も増加するという仕組みです。

    輸入消費税の計算式は以下の通りです。

    輸入消費税額 = (課税価格 + 関税)× 消費税率

    食品には軽減税率(8%)が適用される一方、食器などの非食品には標準税率(10%)が適用されるため、商品分類によって税率が変わる点に注意が必要です。

    具体的な計算例

    実際の計算例を見てみましょう。課税価格が100万円、関税が10万円の場合の計算は以下のようになります。

    商品カテゴリ 消費税率 計算式 消費税額
    食品(軽減税率適用) 8% (100万円+10万円)×8% 8.8万円
    食器(標準税率適用) 10% (100万円+10万円)×10% 11万円

    税金の納付方法

    輸入税の納付方法には主に二つの選択肢があります。一つは通関業者を経由した立替払い、もう一つはリアルタイム口座振替方式による納付です。

    最近ではリアルタイム口座振替方式が一般的になっており、手続きの効率化が図られています。この方式を利用することで、納税手続きがよりスムーズになります。

    効果的なコスト削減戦略

    食品輸入にかかる関税コストを削減するためには、さまざまな制度や仕組みを理解し、適切に活用することが重要です。

    特恵関税制度の活用

    特恵関税制度は、開発途上国からの輸入品に対して一般的な関税率よりも低い税率を適用する制度です。対象となる国や商品が限定されていますが、条件に合致すれば大幅なコスト削減が可能になります。

    この制度を活用するためには、原産地証明書などの必要書類を適切に準備し、申告時に特恵関税の適用を申請する必要があります。

    経済連携協定(EPA)の戦略的利用

    日本が締結している各種EPAを活用することで、協定相手国からの輸入品について優遇税率が適用されます。現在、日本はアジア諸国を中心に多数のEPAを締結しており、食品輸入においても大きなメリットがあります。

    EPA税率を適用するためには、原産地規則を満たし、適切な原産地証明書を取得することが必要です。これらの手続きは複雑な場合もありますが、コスト削減効果は非常に大きいと言えます。

    事前教示制度による税率確定

    関税率を事前に確定させたい場合は「事前教示制度」を積極的に活用しましょう。この制度を利用することで、輸入前に正確な関税率を知ることができ、予期せぬコスト増加を防ぐことができます。

    事前教示制度では、商品のサンプルや詳細な仕様書を税関に提出し、公式な分類と税率の回答を得ることができます。一度回答を得れば、その内容は原則3年間有効となるため、継続的な輸入においても安心ですね。

    食品輸入の手続き簡素化制度

    継続的な食品輸入を行う企業にとって、手続きの簡素化は時間とコストの大幅な削減につながります。

    品目登録制度の効果的活用

    同じ品目を継続的に輸入する場合、品目登録制度を利用することで書類記載事項の簡素化が可能です。この制度では、あらかじめ商品情報を登録しておくことで、毎回の届出時に詳細な製品情報を記載する手間が省けます。

    さらに、登録した商品については試験成績書を省略できる場合もあり、検査コストの削減にもつながります。

    計画輸入制度による効率化

    輸入計画を事前にまとめて提出する計画輸入制度も、手続き簡素化に有効な手段です。この制度では、一定期間の輸入計画を提出日前3年間の輸入実績とともに事前に提出することで、個別の届出を省略することができます。

    対象となる食品は法令で指定されているため、取り扱い予定の商品が対象に含まれているかを事前に確認しておきましょう。

    同一食品等の継続輸入制度

    初回輸入時に問題がないと認められた商品(ただし、輸送中に変質する可能性のある細菌やカビ等を除く)については、同一製品を再輸入する際に同じ項目の検査を省略できる制度があります。これにより、継続的な輸入において検査コストと時間を大幅に削減できます。

    ただし、製造者や製造工程に変更がないことが条件となるため、サプライヤーとの継続的な関係構築が重要になります。

    食品輸入の事前準備と相談体制

    スムーズな食品輸入を実現するためには、適切な事前準備と専門機関への相談が欠かせません。

    検疫所への効果的な事前相談

    食品の輸入相談は税関ではなく、全国13カ所ある検疫所に相談することが適切です。検疫所では食品衛生法に基づく輸入手続きについて、専門的なアドバイスを受けることができます。

    相談の際は、単に「食品を輸入したい」という漠然とした内容ではなく、具体的な商品情報を準備して臨むことが重要です。

    必要な準備資料の詳細

    事前相談を効果的に進めるための資料として、以下のような情報を含めておくことが良いでしょう。

    • 製造者の住所と製造者名
    • 詳細な原材料リスト
    • 製造工程表
    • 容器包装の種類と材質
    • 保管方法や保存温度
    • 用途や販売方法
    • ※ 上記一般的な加工食品の場合の一例

    これらの情報が不足している状態では、具体的なアドバイスを受けることが困難になってしまいます。事前準備を怠らないようにしましょう。

    輸入食品等事前確認制度の活用

    輸入前に食品の製造加工業者などを登録し、一定期間は検査を省略できる事前確認制度も効果的です。この制度を利用することで、継続的な輸入における検査負担を軽減することができます。

    ただし、事前確認を受けるためには、製造施設の衛生管理体制や品質管理システムについて詳細な資料提出が必要になります。

    輸入規制と注意すべきポイント

    食品輸入には関税以外にも様々な規制や注意点があり、これらを理解しておかないと思わぬトラブルに見舞われる可能性があります。

    国別の輸入規制への対応

    一部の国では食品全般の輸入を原則禁止としている場合があります。また、特定の原産国からの食品について、放射能検査や残留農薬検査を義務付けている国もあります。

    輸出先国の規制は頻繁に変更される可能性があるため、最新情報を定期的に確認することが重要です。個人消費目的であれば認められるケースもあるため、用途に応じた規制の確認が必要ですね。

    食品衛生法による規制

    販売目的や営業使用で食品を輸入する場合は、食品衛生法第27条に基づく届出が必須となります。この届出を怠ると、法律違反となってしまう可能性があります。

    一方、個人消費目的の場合は届出が不要ですが、商業的な規模での輸入は個人消費とは認められないため注意が必要です。

    品質管理と継続的な安全性確保

    食品輸入では、初回の検査をクリアするだけでなく、継続的な品質管理と安全性の確保が求められます。製造工程の変更や原材料の変更があった場合は、改めて検査や確認が必要になる場合があります。

    サプライヤーとの継続的なコミュニケーションを通じて、製品の品質維持と法令遵守を徹底することが重要です。

    フライングフィッシュの食品輸入サポート体制

    複雑な食品輸入の手続きを成功させるためには、経験豊富なパートナーとの連携が重要です。

    欧州・アジア拠点を活用したサポート

    フライングフィッシュでは、日本人の駐在員をイタリア・ベトナムに配置し、現地での品質管理から輸出手続きまで一貫したサポートを提供しています。また、長年の取り扱い実績のある欧州・アジアを中心に世界各国の法規制や商慣習を熟知したスタッフが、効率的な輸送ルートの構築をお手伝いします。

    特に食品輸入では、温度管理や輸送期間の短縮が品質維持のカギとなるため、現地拠点での迅速な対応が大きなメリットとなります。

    多様な輸送手段への対応

    食品の特性や緊急性に応じて、海上輸送・航空輸送・陸上輸送のすべての手段に対応可能です。コスト重視の場合は海上輸送、鮮度重視の場合は航空輸送など、お客様のニーズに最適な輸送方法をご提案いたします。

    また、混載輸送やコンテナ輸送など、柔軟な輸送オプションにより、コスト効率の最適化も実現しています。

    関税・通関手続きの専門サポート

    複雑な関税計算や通関手続きについても、豊富な経験を持つ専門スタッフがサポートいたします。HSコードの適正な分類から、各種優遇制度の活用まで、お客様の利益最大化を常に考えた提案を行っています。

    事前教示制度の活用や各種簡素化制度の適用についても、実務経験に基づいた的確なアドバイスを提供しています。

    まとめ

    今回は食品輸入における関税制度の基本から、具体的なコスト削減テクニック、効率的な手続き方法まで詳しく解説いたしました。食品輸入の成功には、関税制度の理解と適切な準備が不可欠です。

    • HSコードの正確な把握と関税率の事前確認が重要
    • 特恵関税やEPAを活用することで大幅なコスト削減が可能
    • 各種簡素化制度の利用により継続輸入の効率化を実現
    • 検疫所への事前相談では具体的な資料準備が必須
    • 現地拠点を持つ物流パートナーとの連携が成功のカギ

    食品輸入における関税や手続きでお悩みの企業様は、ぜひフライングフィッシュまでお気軽にご相談ください。欧州・アジアの現地拠点を活用した効率的な物流ソリューションで、皆様のビジネス成長をサポートいたします!詳細については、お問い合わせフォームからご連絡をお待ちしております。

    一覧に戻る