輸入における食品表示方法|違反を防ぐ実務のポイントを解説

  • DATE
  • 2025/07/30

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    みなさん、こんにちは!フライングフィッシュの広報担当です。輸入食品を日本で販売する際、最も重要な要件の一つが食品表示法への適切な対応です。実は、多くの企業が輸入手続きは完璧にクリアしても、国内販売時の表示方法で思わぬトラブルに遭遇しています。今回は、輸入食品の表示方法について、違反を防ぐための実務ポイントを詳しく解説していきます。

    輸入食品の表示に関する基本的な法的要件

    食品表示法の適用範囲と義務

    輸入食品であっても、日本国内で販売する以上は日本の食品表示法が適用されます。海外のパッケージのまま、販売することはできません。

    輸入食品を日本国内で販売するためには、消費者庁が定めた食品表示基準に従って、邦文(日本語)での表示が必要となります。これは消費者の安全と選択権を保護するための重要な制度です。

    表示義務の対象となる食品カテゴリー

    食品表示法の対象となるのは、加工食品、生鮮食品、添加物の3つのカテゴリーです。それぞれに異なる表示要件が設けられています。

    加工食品では特に詳細な表示が求められ、原材料名から栄養成分表示まで幅広い情報の記載が必要です。生鮮食品では名称と原産地表示が中心となりますが、輸入品の場合は原産国の表示が重要なポイントとなります。

    輸入食品における表示方法の実践手順

    ラベル貼付による表示変更の方法

    最も一般的で実用的な方法が、専用ラベルを上から貼り付ける手法です。この方法なら、既存のパッケージを活かしながら日本の法的要件を満たすことができます。

    専用のラベルプリンターや普通のプリンターを使用して、日本語表記で作成したラベルを印刷し、輸入品のパッケージに貼り付けます。重要なのは、消費者が見やすい場所に確実に貼付することです。

    ラベル作成時には、背景色と文字色のコントラストを十分に確保し、文字サイズも規定の8ポイント以上(表示可能面積が150㎠以下の場合は5.5ポイント以上)を守る必要があります。

    パッケージデザインへの直接印刷

    もう一つの方法として、輸入品のパッケージデザイン自体に日本国内向けの商品情報を直接記載する方法があります。

    この場合、デザインソフトを使用して既存のパッケージに日本語表示を組み込み、特別な印刷技術で対応することになります。大量輸入を前提とした継続的な取引では、この方法がコスト効率的になることもあります。

    表示レイアウトの基本原則

    食品表示ラベルには、日本語で表記する以外にも重要な規定があります。一般消費者が理解しやすい日本語を使用し、容器包装の見やすい箇所に表示することが基本です。

    文字及び枠の色は背景色と対照的な色で表示し、文字は日本産業規格 Z8305(1962)が規定する適切なサイズで表示する必要があります。これらの要件を満たすことで、消費者にとって分かりやすい表示を実現できます。

    必要な表示項目とその記載方法

    基本的な表示項目の概要

    輸入加工食品の場合、以下の項目が主要な表示事項となります。名称、原材料名、添加物、内容量、期限表示、保存方法、原産国名、輸入者、アレルゲン、栄養成分表示です。

    これらの項目は、消費者が商品を適切に選択し、安全に使用するために不可欠な情報です。それぞれの項目には具体的な記載ルールが定められているため、正確な理解が重要になります。

    名称と原材料名の適切な記載

    名称については、商品名ではなく一般的な名称を記載する必要があります。例えば「味わいリッチな焼き菓子」ではなく、単に「焼菓子」と表示するのが正しい方法です。

    原材料名では、使用した重量の割合が多い順に一般的な名称で記載します。原材料と添加物は明確に区別して表示することが日本の特徴的なルールです。

    期限表示と保存方法の記載要件

    期限表示では、開封前の保存できる期限を適切に表示する必要があります。賞味期限と消費期限の違いを理解し、商品の特性に応じて正しい期限を選択することが重要です。

    保存方法については、商品の特性に合った開封前の保存方法を具体的に記載します。温度条件や湿度、光の条件など、品質維持に必要な情報を消費者に伝える役割があります。

    製造者・輸入者情報の表示

    輸入品の場合、製造した国の表示が必要となります。また、輸入者として食品の表示内容に責任を持つ事業者名を明確に記載する必要があります。

    これらの情報は、万が一の問題発生時における責任の所在を明確にする重要な役割を果たします。消費者からの問い合わせ対応も含めて、適切な連絡先情報の記載が求められます。

    栄養成分表示の詳細要件

    栄養成分表示では、エネルギー(熱量)、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量の5項目が必須表示事項となります。

    表示方法は100gあたりまたは100mlあたり、もしくは1食分あたりなどの「食品単位」あたりで記載します。数値については、分析値または計算値を明記し、消費者に正確な栄養情報を提供することが重要です。

    輸入食品表示で注意すべき特別なポイント

    添加物表示における日本独自のルール

    日本では原材料と添加物を明確に区別し、それぞれ別々の欄に重量順で表示することが義務付けられています。これは多くの国とは異なる独特なルールです。

    さらに重要なのは、日本国内で使用が禁止されている添加物が含まれていないかの確認です。食品衛生法で定められた使用基準を必ず確認し、適合しない添加物が含まれている場合は輸入自体ができません。

    また、添加物の表示名称についても、日本の食品添加物公定書に記載された正式名称を使用する必要があります。海外の表示名称をそのまま翻訳しただけでは不適切な場合もあるため、注意が必要です。

    アレルゲン表示の国際的な違いと対応

    アレルゲン表示については、各国で対象となる食品が異なります。日本では特定原材料8品目(卵、乳、小麦、そば、落花生、えび、かに、くるみ)の表示が義務となっています。

    輸入元国でアレルゲンとして扱われていない食品でも、日本では表示義務がある場合があります。逆に、輸入元国でアレルゲン表示されている食品が、日本では対象外という場合もあります。

    添加物にもアレルゲンが含まれる場合があるため、原材料だけでなく使用されている添加物についても慎重にチェックする必要があります。

    ナトリウム量から食塩相当量への換算

    栄養成分表示で特に注意が必要なのが、ナトリウム量の扱いです。多くの国では「ナトリウム量」として表示されていますが、日本では「食塩相当量」として表示する必要があります。

    換算式は次の通りです。食塩相当量(g) = ナトリウム(mg)× 2.54 ÷ 1,000。この計算を正確に行い、適切な桁数で表示することが重要です。

    計算ミスを防ぐため、複数人でのチェック体制を構築することをお勧めします。栄養成分表示の誤りは消費者の健康に直接関わる重要な問題となる可能性があります。

    法改正への継続的な対応と管理体制

    食品表示法の年次改正への対応

    日本の食品表示法は毎年のように改正が行われています。新しい表示要件の追加、既存ルールの変更、経過措置の終了など、様々な変更が実施されます。

    そのため、消費者庁のホームページから法改正の情報を定期的にチェックし、対象商品については速やかに表示を更新していく体制を整備することが不可欠です。

    社内管理体制の構築

    効果的な食品表示管理を行うためには、社内での責任体制を明確にする必要があります。表示作成担当者、チェック担当者、最終承認者の役割分担を決めましょう。

    また、表示内容の記録保管と更新履歴の管理も重要なポイントです。問題が発生した際の迅速な対応や、監査時の対応に備えて、適切な文書管理体制を構築することが求められます。

    食品表示の専門性の高さと法改正の頻度を考慮すると、専門サービスの活用も有効な選択肢となります。特に多品目を扱う企業や、継続的な輸入を行う企業にとっては、コスト効率と品質確保の両面でメリットがあります。

    輸入食品表示における実務上のトラブル事例と対策

    よくある表示ミスとその予防策

    最も頻繁に発生するのは、原材料名の記載順序の間違いです。重量順ではなく、海外パッケージの記載順序をそのまま使用してしまうケースが多く見られます。

    また、添加物の分類ミスも頻発します。海外では原材料として扱われているものが、日本では添加物として分類される場合があります。事前の成分確認と分類の精査が欠かせません。

    期限表示の間違いも重大な問題となります。製造日と賞味期限の取り違え、年月日の表記順序の間違いなど、基本的なミスが意外に多く発生しています。

    監査対応と是正措置

    保健所による監査や消費者からの指摘を受けた場合の対応体制も重要です。迅速な事実確認と適切な是正措置を講じることで、問題の拡大を防ぐことができます。

    問題が発見された場合は、同じ表示を使用している他の商品についても即座にチェックを行い、必要に応じて一斉に是正措置を実施する体制を整えておくことが重要です。

    リスク管理と予防体制

    表示ミスのリスクを最小化するためには、複数段階でのチェック体制が効果的です。作成者による自己チェック、別担当者によるクロスチェック、最終責任者による承認チェックの3段階体制をお勧めします。

    また、チェックリストの活用も有効です。必要な表示項目、記載方法、計算式など、確認すべきポイントを標準化することで、見落としやミスを防ぐことができます。

    効率的な輸入食品表示の運用システム

    デジタルツールの活用

    表示作成の効率化には、専用ソフトウェアやクラウドサービスの活用が有効です。テンプレート機能を使用することで、一定の品質を保ちながら作業時間を短縮できます。

    また、栄養成分の自動計算機能や、法改正情報の自動更新機能を備えたツールを活用することで、ヒューマンエラーの削減と最新法規制への対応を同時に実現できます。

    サプライチェーン全体での情報管理

    輸入元からの正確な商品情報の取得も重要なポイントです。原材料の詳細情報、製造工程、栄養成分分析値など、表示に必要な情報を事前に整理して提供してもらう体制を構築しましょう。

    情報の受け渡しフォーマットを標準化することで、情報の抜け漏れや誤解を防ぐことができます。特に継続的な取引関係では、この初期投資が長期的な効率化につながります。

    継続的改善のためのPDCAサイクル

    表示業務の品質向上のためには、定期的な業務見直しが必要です。発生した問題の原因分析、改善策の実施、効果の検証というPDCAサイクルを回すことで、継続的な品質向上を図ることができます。

    また、業界動向や他社事例の研究も有益です。新しい表示手法や効率化のアイデアを積極的に取り入れることで、競争優位性を維持できます。

    まとめ

    輸入食品の表示は、法的要件の理解から実務運用まで、多岐にわたる専門知識が必要な分野です。今回は基本的なルールから実践的なポイントまで、幅広く解説してきました。

    • 食品表示法に基づく日本語表示が輸入食品にも義務付けられている
    • ラベル貼付と直接印刷の2つの主要な表示方法がある
    • 名称から栄養成分表示まで9つの基本項目の適切な記載が必要
    • 添加物、アレルゲン、ナトリウム量換算など輸入食品特有の注意点がある
    • 法改正への継続対応と社内管理体制の構築が不可欠
    • デジタルツール活用と標準化により効率的な運用が可能

    フライングフィッシュでは、長年の取り扱い実績を持つ欧州・アジアを中心に世界各国からの食品輸入において、輸送から表示サポートまで一貫したサービスを提供しています。複雑な食品表示要件でお困りの際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。私たちの豊富な経験と専門知識で、あなたのビジネス成功をサポートいたします!

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