海上運賃高騰はいつまで?影響を受ける企業の対策方法も解説
2025/11/05
目次
みなさん、こんにちは!フライングフィッシュの広報担当です。近年、海上運賃の高騰が国際取引を行う企業の大きな課題となっています。2020年以降、コンテナ不足や港湾の混雑、そして新型コロナウイルスの影響により、海上運賃は記録的な高値を付け、多くの企業の物流コストを圧迫しています。
本記事では、海上運賃高騰の原因から今後の見通し、そして企業が取るべき具体的な対策までを詳しく解説します。欧州・アジアを中心に国際物流に強みを持つ私たちフライングフィッシュの知見をもとに、この困難な状況を乗り切るためのヒントをお届けします。
海上運賃高騰の現状と背景
海上運賃は2020年以降に大きく変動し、特に2021~2023年にかけては記録的な高騰を経験しました。この価格高騰には複数の要因が絡み合っています。
コンテナ不足による影響
海上運賃高騰の最大の原因は、世界的なコンテナ不足です。2018年の米中貿易摩擦以降、中国による海上コンテナの生産量制限が続き、供給が世界的な需要に追いつかなくなりました。特に中国が世界最大のコンテナ供給元であることから、その影響は甚大でした。
さらに新型コロナウイルスの世界的流行により、各国でのロックダウンや人手不足が発生しました。これに「巣ごもり消費」が加わり、国際物流需要が急増したことで、既存のコンテナ不足がさらに深刻化しました。
港湾機能の低下
世界各地の主要港では、コロナ禍による労働力不足が大きな問題となりました。港湾作業員の減少により荷下ろし作業が遅延し、空コンテナの滞留が発生し、特に北米のロサンゼルス港やロングビーチ港では、コンテナ船が長期間沖合で待機する事態が発生しました。
この状況は、コンテナの回転率低下につながり、新たな輸送予約が困難になる悪循環を生み出しました。2023年以降は徐々に改善傾向にありますが、完全な回復には至っていません。
トラックドライバー不足とシャーシ不足
海上輸送だけでなく、陸上輸送にも問題が生じています。世界的なトラックドライバー不足と、コンテナ専用車両(シャーシ)の不足により、港から内陸への輸送にも遅延が発生しています。これが空コンテナの循環を妨げ、さらなる輸送障害を引き起こしています。
| 高騰要因 | 影響の程度 | 今後の見通し |
|---|---|---|
| コンテナ不足 | 非常に大きい | 徐々に改善傾向だが完全解消には時間を要する |
| 港湾機能低下 | 大きい | 地域によって回復にばらつきあり |
| ドライバー不足 | 中程度 | 構造的問題として継続する可能性が高い |
| 燃料費高騰 | 大きい | 地政学的リスクに左右される |
海上運賃高騰はいつまで続くのか?
多くの企業が最も知りたいのは「この高騰状態がいつまで続くのか」という点でしょう。結論から言えば、完全な収束にはまだ時間がかかる見込みです。
短期的な見通し(2025~2026年)
短期的には「横ばい」または一時的な値上がりが予想されます。現在の海上運賃は、コロナ禍ピーク時よりは下落したものの、依然として高水準で推移しています。
中東情勢の不安定化や燃料費の高止まりにより、短期的な下落トレンドは期待できない状況です。さらに一部地域ではストライキなどによる一時的な値上げリスクも残っています。
中長期的な見通し(2026年以降)
中長期的には、新造船の投入増加により「供給過剰」となる可能性があります。コンテナ船の建造ラッシュにより、2026年以降は船腹量が大幅に増加する見込みです。これにより需給バランスが変化し、運賃は徐々に低下する可能性があります。
ただし、燃料価格や環境規制、地政学的リスクなど、外部要因によって再度高騰する懸念も残されています。専門家の間でも「一概に楽観視はできない」という慎重な見方が主流です。
影響を左右する主要因
海上運賃の今後を左右する主な要因は以下の通りです。
- トランプ関税の影響
- 中東情勢やウクライナ危機などの地政学的リスク
- 燃料価格の変動
- 中国の経済政策と輸出入動向
- 環境規制強化による運航コスト増
- 新型コンテナ船の就航ペース
- 世界経済の回復スピード
これらの要因が複合的に絡み合うため、運賃の正確な予測は困難です。企業としては、複数のシナリオを想定した対策が重要となります。
海上運賃高騰による企業への影響
海上運賃の高騰は、国際取引を行う企業に様々な面で大きな影響を与えています。特に製造業、小売業、輸出入を主とする企業では深刻な課題となっています。
コスト面への影響
最も直接的な影響は輸送コストの増加です。数年前と比較して3~5倍に膨れ上がった輸送費は、企業の利益を大きく圧迫しています。特に原材料や部品を海外から調達している製造業では、生産コスト全体の上昇につながっています。
製品の単価が低い雑貨や食品などでは、運賃上昇分を吸収しきれないケースも多く、最終的に販売価格への転嫁が進んでいます。これは企業の競争力低下や顧客離れにつながるリスクをはらんでいます。
納期への影響
コスト面だけでなく、物流の遅延も深刻な問題です。コンテナ不足や港湾の混雑により、以前は30日程度だった輸送期間が60日以上かかるケースも珍しくありません。
こうした遅延は生産計画や販売計画に大きな狂いを生じさせ、在庫切れや機会損失のリスクを高めています。特に季節商品や流行商品を扱う企業にとっては致命的な問題となりかねません。
サプライチェーン全体への波及
一部の企業では、安定した物流を確保するため、以前よりも多くの在庫を抱えるようになっています。これは在庫管理コストの増加や資金繰りの悪化につながる可能性があります。
さらに、サプライヤーや顧客との契約条件の見直しが必要となり、取引関係全体の再構築を迫られるケースも増えています。このように、運賃高騰の影響はサプライチェーン全体に波及し、企業経営の根幹を揺るがす問題となっています。
海上運賃高騰に対する企業の対策方法
海上運賃高騰という厳しい状況下でも、適切な対策を講じることで影響を最小限に抑えることが可能です。ここでは実践的な対策方法をご紹介します。
輸送ルートとキャリアの分散
リスク分散の観点から、単一の輸送ルートやキャリアに依存することは避けるべきです。複数の船会社と契約を結び、主要航路だけでなく代替ルートも確保しておくことが重要です。
例えば、アジアから欧州への輸送では、喜望峰回りのルートも選択肢として必要となります。また、一部の貨物については鉄道や航空輸送への切り替えも検討する価値があります。常に複数の選択肢を検討し、輸送手段の柔軟な組み合わせが緊急時の対応力を高めます。
契約戦略の見直し
海上運賃の変動リスクをヘッジするため、長期契約とスポット契約をバランスよく組み合わせる戦略が効果的です。市況が高い時期には長期契約の割合を増やし、下落傾向にある時期にはスポット契約の比率を高めるなど、臨機応変な対応が求められます。
また、フレイトフォワーダー(国際物流業者)との関係強化も重要です。信頼できるパートナーと長期的な関係を構築することで、困難な状況下でも優先的なスペース確保が可能になります。私たちフライングフィッシュでは、欧州・アジアを中心に世界中で強固なネットワークを構築しており、お客様の大切な貨物を確実にお届けするサポートを行っています。
積載効率の最大化と共同配送の活用
コンテナスペースを最大限に活用するため、梱包方法や積載方法の見直しが効果的です。省スペース梱包の導入や、パレット設計の最適化により、同じコンテナでより多くの貨物を輸送することが可能になります。
また、単独では1コンテナに満たない貨物(LCL貨物)については、混載便を活用することでコスト削減と安定した輸送枠の確保が可能になります。フライングフィッシュでは、ベトナムでの冷凍混載便を自社展開しています。
サプライチェーン全体の最適化
より根本的な対策として、サプライチェーン全体の見直しも検討すべきです。例えば、生産拠点の分散化や、調達先の多様化により、特定ルートの混雑や遅延リスクを分散することができます。
また、需要予測の精度向上や在庫管理の効率化により、適切な在庫水準を維持しながらも過剰在庫を避ける工夫が必要です。物流を含めたトータルコストの視点で最適化を図ることが重要になります。
デジタルツールの活用と情報収集の強化
不安定な海上運賃市況に対応するためには、最新の情報収集と分析が欠かせません。運賃指数やマーケットレポートの定期的なチェック、AIを活用したシステムの導入などが効果的です。
当社フライングフィッシュのBORDERLESS2.0システムでは、AIを活用した到着予測に加え、世界地図上での輸送リスクの可視化を行っています。それらのデータにより、意思決定の精度向上が、期待できます。
| 対策 | 期待される効果 | 実施の難易度 |
|---|---|---|
| 輸送ルート・キャリアの分散 | リスク分散、輸送の安定化 | 中程度 |
| 契約戦略の見直し | コスト変動の抑制、スペース確保 | 低~中程度 |
| 積載効率の最大化 | 単位あたりコスト削減 | 低~中程度 |
| サプライチェーン全体の最適化 | 長期的なコスト削減、安定供給 | 高い |
| デジタルツールの活用 | 意思決定精度の向上 | 中程度 |
欧州・アジアに強みを持つフライングフィッシュのサポート体制
海上運賃高騰の影響を最小限に抑えるためには、信頼できる物流パートナーの存在が不可欠です。フライングフィッシュは欧州・アジアを中心とした国際物流に強みを持ち、お客様のビジネスをサポートしています。
複合一貫輸送による柔軟な対応
フライングフィッシュでは、海上輸送だけでなく、航空輸送や鉄道輸送、トラック輸送を組み合わせた複合一貫輸送を提供しています。これにより、海上運賃の高騰時にも代替ルートを確保し、お客様の貨物を最適な方法で輸送することが可能です。
例えば、アジアから欧州への輸送では、従来の海上輸送に加え、中国~欧州間の鉄道輸送(中欧班列)も活用しています。納期が迫っている場合は、航空輸送との組み合わせも可能です。状況に応じた最適な輸送手段の提案が、私たちの強みです。
現地駐在員によるきめ細かなサポート
フライングフィッシュでは、イタリアやベトナムをはじめとする主要拠点に駐在員を配置しています。現地での情報収集や交渉力を活かし、スペース確保や緊急対応を迅速に行うことが可能です。
また、現地の港湾状況や通関手続きの変更などもリアルタイムで把握し、お客様に最新情報をお届けしています。言語や時差の壁を越えて、スムーズな物流をサポートする体制を整えています。
長年の実績に基づく船会社との強固な関係
フライングフィッシュは長年の取引実績により、主要船会社と強固な関係を構築しています。これにより、スペースの確保が困難な状況下でも、優先的なスペースやコンテナの確保や競争力のある運賃の提供が可能となっています。
特に欧州・アジア間のルートでは、定期的な大量貨物の取扱いにより、船会社との交渉力を持っています。この強みを活かし、お客様の貨物を確実に目的地へお届けします。
まとめ
海上運賃高騰は短期間では解消されず、当面は不安定な状況が続く見込みです。企業としては、リスク分散と柔軟な対応策の準備が重要となります。
- 海上運賃高騰の主な原因はコンテナ不足、港湾機能の低下、ドライバー不足などの複合的要因
- 短期的には「横ばい」または一時的な値上がりが予想され、中長期的には新造船投入による緩和の可能性
- 企業への影響はコスト増加、納期遅延、サプライチェーンの混乱など多岐にわたる
- 対策としては、輸送ルートの分散、契約戦略の見直し、積載効率の最大化などが有効
- 信頼できる物流パートナーとの連携が、この困難な状況を乗り切るカギとなる
フライングフィッシュでは、欧州・アジアを中心に世界中にもつ強固なネットワークと複合一貫輸送の強みを活かし、お客様の国際物流をトータルでサポートいたします。海上運賃高騰にお悩みの方は、ぜひフライングフィッシュまでお問い合わせください。経験豊富なスタッフが最適な解決策をご提案いたします。お気軽にお問い合わせください。