冷凍食品の輸入方法を解説|品質管理のポイントと注意点

  • DATE
  • 2025/08/06

    みなさん、こんにちは!フライングフィッシュの広報担当です。海外の美味しい冷凍食品を日本に輸入してビジネスを始めたいとお考えの企業様も多いのではないでしょうか?

    冷凍食品の輸入は、農林水産省・厚生労働省・財務省の3つの省庁が関わる複雑な手続きが必要で、適切な品質管理と法令遵守が欠かせません。しかし、正しい知識と準備があれば、スムーズに輸入を開始できますよ!この記事では、冷凍食品輸入の基本的な流れから必要書類、品質管理のポイントまで、実務に役立つ情報を詳しくご紹介します。

    冷凍食品輸入の基本的な流れと手続き

    輸入手続きの全体概要

    海外から冷凍食品を輸入する際は、以下3つの段階を経る必要があります。まず農林水産省の管轄する防疫所・検疫所での確認、次に厚生労働省の食品検疫所での確認、最後に税関での書類審査や現物検査です。

    この手続きの流れを理解しておくことで、計画的かつ効率的な輸入業務が可能になります。

    各段階で求められる基準や書類が異なるため、事前の準備が成功の鍵となります。特に初回輸入の場合は、余裕を持ったスケジュール設定をおすすめします。

    農林水産省での防疫・検疫確認

    日本に到着した冷凍食品は、品目によって植物防疫所または動物検疫所による確認が実施されます。植物防疫所では農産食品類、動物検疫所では水産加工物や畜産加工物が対象となります。冷凍ケーキや冷凍餃子などの加工度の高い冷凍食品は、この段階での確認対象外となります。

    担当機関 対象品目 確認目的
    植物防疫所 農産食品類 有害な病害虫の国内侵入防止
    動物検疫所 水産・畜産加工物 家畜伝染性疾病の防止

    農林水産省での確認が完了すると、自動的に厚生労働省の検疫所に輸入届出が行われ、次の段階に進みます。

    厚生労働省での食品衛生確認

    外国から輸入されるすべての食品は、厚生労働省の食品衛生法の対象となります。検疫所では、輸入食品監視指導計画に基づいた厳格な審査・検査が実施されます。

    審査では提出書類の内容確認が行われ、違反の可能性が高いと判断された場合は詳細検査が命じられることもあります。基準をクリアできなければ、残念ながら国内への輸入は認められません。

    通常は計画的な抜き取り検査が実施され、問題がなければ食品等輸入届出済証が発行されます。この証明書は、税関での通関手続きに必要な重要書類となりますので、大切に保管してください。

    税関での最終確認

    現在、税関での輸出入手続きはNACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)により電子的に処理されるのが一般的です。このシステムで輸入申告された貨物は、以下の3つの区分で自動判定されます。

    • 区分1(簡易審査扱い):輸入申告後直ちに輸入許可
    • 区分2(書類審査扱い):通関書類の提出と審査が必要
    • 区分3(検査扱い):税関員による現物検査が必要

    区分2と区分3に該当する場合は、より詳細な確認が行われます。検査は輸出入者の通関実績やHSコードなどを総合的に判断して実施されるシステムです。

    書類審査では、品目分類・関税率・関税額の確認に加え、輸入禁制品に該当しないか、他法令による規制をクリアしているかなどが総合的にチェックされます。

    輸入前の事前確認事項と品質管理ポイント

    製造工程表と原材料表の重要性

    厚生労働省への提出書類として、製造工程表と原材料表の準備が必須となります。製造工程表では、加熱工程がある場合の加熱種類・温度・時間、冷却や殺菌工程の詳細な方法を記載する必要があります。

    ここで重要なのが、「加熱して食べるものか」「加工工程で凍結直前に加熱処理がされたか」といった情報も必要になることです。これらの情報は後述する規格基準の分類に直結するため、正確な記載が求められます。

    原材料表では、各原材料の割合(%)を明記し、医薬品成分や遺伝子組み換え食品が含まれる場合はその旨も記載します。日本では使用不可の添加物が含まれていないかの確認も重要なチェックポイントです。

    HSコードと関税の事前調査

    関税額を正確に算出するためには、HSコードとそのコードごとに定められた関税率の確認が不可欠です。HSコードは国際条約に基づく世界共通の商品別分類コードで、貿易統計や関税率決定の基準となります。

    輸入予定の冷凍食品の区分や関税率が不明な場合は、税関による関税分類の事前教示制度を積極的に活用しましょう。税関窓口での相談、電話、メール、文書での照会が可能です。

    より正確で詳細な回答を求める場合は、文書での事前照会をおすすめします。事前に正確な情報を把握することで、輸入時のトラブルを未然に防ぐことができます。

    冷凍食品の規格基準確認

    厚生労働省は、冷凍食品を5つのカテゴリーに分類し、それぞれに厳格な規格基準を設定しています。この分類を正しく理解することが、適切な品質管理の第一歩となります。

    分類名 詳細説明
    無加熱摂取冷凍食品 解凍後そのまま食べる冷凍食品
    加熱後摂取冷凍食品(凍結直前加熱あり) 加熱して食べる冷凍食品で凍結直前に加熱工程があったもの
    加熱後摂取冷凍食品(凍結直前加熱なし) 加熱して食べる冷凍食品で凍結直前に加熱工程がなかったもの
    生食用冷凍鮮魚介類 生食用の鮮魚介類の冷凍食品
    切り身又はむき身の冷凍鮮魚介類 生食用ではない鮮魚介類の冷凍食品

    例えば、無加熱摂取冷凍食品の場合、細菌数(生菌数)が100,000以下/g、大腸菌群が陰性であることが成分規格として定められています。また、保存基準として-15℃以下での保存と、清潔で衛生的な包装材料の使用が義務付けられています。

    これらの規格基準に関する詳細情報は、検疫所での審査時に必須となるため、事前の十分な確認が欠かせません。

    必要書類の準備と作成のポイント

    輸入通関に必要な基本書類

    輸入通関手続きには、以下の書類が必要となります。これらの書類は必要となる書類の一例ですが、それぞれ異なる役割を持つためすべてが揃って初めて手続きが完了します。

    • 製造工程表(製造者から取得)
    • 原材料表(製造者から取得)
    • インボイス(仕入書)
    • パッキングリスト(包装明細書)
    • 船荷証券または航空運送状
    • 貨物到着案内書(アライバル・ノーティス)
    • 食品等輸入届出

    このうち、インボイス・パッキングリストは輸出者が作成、食品等輸入届出は輸入者自身が用意する書類となります。特にインボイスは商品価値を示す重要な書類であり、正確な記載が関税計算に直結するため、細心の注意が必要です。

    書類作成時の注意点とコツ

    書類作成において最も重要なのは、情報の正確性と一貫性です。特に製造工程表と原材料表の内容は、実際の製品と完全に一致している必要があります。

    海外の製造者から受け取った書類の内容が不十分な場合は、早めに詳細情報の提供を求めましょう。後から情報不足が判明すると、手続きが大幅に遅れる可能性があります。

    また、日本語での記載が求められる書類については、専門用語の正確な翻訳が重要です。食品関連の専門用語は、誤訳が法令違反につながる可能性もあるため、専門家のサポートを受けることをおすすめします。

    冷凍食品輸入時の品質管理と保管のポイント

    コールドチェーンの維持

    冷凍食品の品質維持には、製造から消費者に届くまでの一貫したコールドチェーンの維持が絶対条件です。輸送中の温度管理はもちろん、保税倉庫での保管時も規定温度の維持が求められます。

    特に日本の夏季は高温多湿のため、冷凍設備の性能が品質に大きく影響します。温度記録の継続的な監視と、異常時の迅速な対応体制の構築が重要ですね!

    また、保税倉庫から最終配送先までの温度管理も品質維持の重要な要素となります。適切な冷凍配送業者の選定と、配送ルートの最適化を検討しましょう。

    保税倉庫での保管管理

    輸入冷凍食品は、通関手続き完了まで保税倉庫での保管が必要となります。この期間中の適切な保管管理が、最終的な品質に大きく影響するため、信頼できる保税倉庫の選定が重要です。

    保税倉庫選定時のポイントとして、冷凍設備の性能・温度管理システム・緊急時対応体制・衛生管理レベルなどを総合的に評価することをおすすめします。

    流通加工とワンストップサービス

    輸入後の効率的な国内流通を実現するためには、保税倉庫内での流通加工サービスの活用が有効です。ラベル貼付、小分け包装、検品作業などを保税倉庫内で実施することで、コスト削減と納期短縮が可能になります。

    また、通関手続きから食品届出、表示届出、流通加工までを一か所で完結できるワンストップサービスは、管理コストの大幅な削減につながります。

    複数の業者とやり取りする手間が省け、一元管理による効率化が実現できるため、特に取扱量の多い企業様にはメリットが大きいサービスです。

    リスク管理と法令遵守

    食品安全リスクへの対応

    食品輸入においては、食中毒リスク、異物混入リスク、アレルゲン表示漏れリスクなど、様々な食品安全リスクが存在します。これらのリスクに適切に対応するためには、予防的な管理システムの構築が重要です。

    製造者との定期的な品質確認、サンプル検査の実施、トレーサビリティシステムの整備などを通じて、リスクの早期発見と迅速な対応が可能になります。

    また、万が一問題が発生した際の回収手順の事前準備も重要です。迅速な情報共有と対応により、被害の拡大を最小限に抑えることができます。

    法令変更への対応

    食品関連の法令は定期的に改正されるため、常に最新の情報をキャッチアップすることが重要です。特に添加物の使用基準、表示義務、検査項目などは変更頻度が高い分野となります。

    農林水産省、厚生労働省、財務省の公式ウェブサイトや業界団体からの情報発信を定期的にチェックし、法令変更に迅速に対応できる体制を整えましょう。

    また、専門家との継続的な情報交換により、法令変更の影響を事前に把握し、必要な対応策を検討することも効果的です。

    国際的な品質基準への対応

    グローバルな食品取引においては、日本の法令だけでなく、国際的な品質基準や認証制度への対応も重要になってきています。HACCP、ISO22000、BRCなどの国際基準は、取引先からの要求事項となるケースも増えています。

    これらの基準に対応することで、より幅広い海外サプライヤーとの取引が可能になり、競争優位性の確保にもつながります。

    弊社では長年の取り扱い実績を持つ欧州・アジアをはじめ世界各国で、常に現地の最新基準情報の収集を行い、基準適合のためのサポートを提供しています。特にイタリア・ベトナムでは駐在員を通じた日本語での詳細なサポートが可能です。

    まとめ

    今回は、冷凍食品の輸入方法について、手続きの流れから品質管理、効率化のポイントまで詳しくご紹介しました。

    • 農林水産省・厚生労働省・財務省の3省庁による段階的な確認が必要
    • 製造工程表・原材料表・食品等輸入届出などの書類準備が重要
    • 冷凍食品の分類に応じた規格基準の確認が必須
    • コールドチェーンの維持と適切な保管管理が品質保持の鍵
    • システム化と信頼できる物流パートナーとの連携で効率化を実現

    冷凍食品の輸入は複雑な手続きが必要ですが、適切な知識と準備があれば確実に成功できます。フライングフィッシュでは、長年の取り扱い実績をもつ欧州・アジアを中心に、世界各国からの食品輸入においてお客様の冷凍食品輸入事業を全力でサポートいたします。輸入業務でお困りのことがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください!

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