輸入食品の検査による安全確保|種類別の対応ポイントと注意点

  • DATE
  • 2025/07/23

  • TAG
  • お役立ち情報

    みなさん、こんにちは!フライングフィッシュの広報担当です。食料自給率が40%を下回る日本では、輸入食品が私たちの生活に欠かせない存在となっています。しかし、輸入食品の安全性について不安を感じている方も多いのではないでしょうか?実は、日本では厳格な検査によって、安全を保証する取り組みが行われています。国際物流に携わる当社としても、お客様の大切な食品貨物の安全性確保は最重要課題の一つです。本記事では、輸入食品の定義から検査制度、そして企業が知っておくべき安全確保のポイントまで、詳しく解説していきます!

    輸入食品の基本的な定義と範囲

    輸入食品の正確な定義

    輸入食品とは、「外国から日本に引き取られたあらゆる食品」を指します。ここでいう「輸入」とは、税関手続きを経て外国の貨物を日本に引き取ることを意味しています。

    また、「食品」の範囲は私たちが思っているより広範囲で、人の口に入るすべての飲食物が含まれます。具体的には、肉や魚、野菜、果物、飲み物はもちろん、加工食品に使用される原材料や香辛料なども対象となります。

    国際物流を利用される企業の皆さまにとって、この定義を正確に把握することは、適切な手続きと検査対応のために必要不可欠です。

    船籍による判定の具体例

    興味深い例として、遠洋で捕獲されたマグロの取り扱いがあります。同じ漁場で捕れたマグロでも、漁船の船籍によって輸入食品かどうかが決まります。

    日本船籍の漁船で捕獲されたマグロは、たとえ何千キロも離れた遠洋で捕れたものでも輸入食品ではありません。一方、外国船籍の漁船で捕獲されたマグロは、税関手続きが必要となり輸入食品として扱われます。

    このような判定基準を理解しておくことで、物流計画を立てる際にも適切な手続きを想定できます。

    輸入食品に含まれる多様な商品カテゴリー

    輸入食品のカテゴリーは実に多岐にわたります。生鮮食品から加工食品、さらには食品添加物まで、幅広い商品が対象となっています。

    特に加工食品の場合、原材料の一部が輸入されたものであっても、最終的な加工が日本国内で行われれば国産品として扱われることもあります。

    輸入食品のリスクと安全性への理解

    国産品と輸入品のリスク比較

    「輸入食品は国産品よりも安全性で劣るのでは?」という声をよく耳にしますが、実際のところリスクの種類に大きな違いはありません。確かに、特定地域でのみ生育するカビによる毒素混入など、日本では発生し得ない特殊なリスクも存在します。

    しかし、そのような特殊なケースを除けば、食品の安全性を左右するのは産地ではなく、衛生管理の適切性なのです。国産品であれ輸入品であれ、適切な管理が行われていれば安全性は確保できます。

    輸入食品の場合、生産現場が海外にあるため管理状況を直接把握しにくいことが、消費者の不安感につながっているのが現状です。

    民間レベルでの安全確保努力

    食品の輸入は経済活動であり、日本国内で販売できなければ事業として成立しません。そのため、海外の事業者も日本の法律に合った安全な食品を作ることが不可欠となっています。国内企業と同様に、海外の事業者も食品の安全確保に向けた努力を継続的に行っています。

    民間企業の取り組みに加えて、国としても輸入段階での監視や相手国政府との協議、現地調査の実施など、政府レベルでの問題解決も推進されています。

    消費者の不安に対する現実的な対応

    消費者の不安感を解消するためには、正確な情報提供と透明性の確保が重要です。輸入食品の安全性について、感情的な判断ではなく科学的根拠に基づいた評価を行うことが大切です。

    政府による3重のチェック体制

    日本では農林水産省、厚生労働省、財務省の3つの省庁が連携し、輸入食品の安全確保に向けた包括的な管理体制を構築しています。この仕組みを理解することで、より安全な物流計画を立てることができます。

    農林水産省による動植物検疫

    農林水産省は「植物防疫法」と「家畜伝染病予防法」を所管し、野菜、果物、食肉などの輸入時に持ち込まれる可能性のある病気や害虫から、国内の農作物や家畜を守っています。

    この検疫は、日本の農業生産基盤を保護するという重要な役割を担っています。特に近年では、新たな病害虫の侵入リスクも高まっており、検疫の重要性がますます増している状況です。

    当社では、これらの法規制に精通したスタッフが、お客様の貨物に応じた適切な手続きサポートを提供しています。日本人が駐在しているイタリアやベトナムはもちろん、世界各国にある代理店と連携し、世界各国で培った豊富な経験をもとに現地での事前準備から日本到着まで一貫したサポートを実現しています。

    厚生労働省による食品衛生管理

    厚生労働省の「食品衛生法」は、あらゆる食品の衛生規制を行う包括的な法律です。この法律により、輸入食品の安全性基準が厳格に定められています。

    食品衛生法では、残留農薬、食品添加物、微生物汚染など、幅広い安全性項目について基準値が設定されています。これらの基準をクリアしなければ、日本国内での流通は認められません。

    財務省による税関手続きの統合管理

    財務省の「関税法」には、「関係法令がある場合、その法令への合格を税関に証明し、その確認を受けなければならない」という重要な条文があります。

    これにより、例えば食肉を輸入する場合、農林水産省の家畜伝染病予防法と厚生労働省の食品衛生法の両方で合格を得なければ通関できない仕組みになっています。このような複雑な仕組みによって、輸入食品の安全確保が図られているのです。

    コンピュータシステムによる効率的な監視体制

    食品衛生法による届出義務

    販売目的で食品を輸入する際には、食品衛生法第27条により厚生労働大臣への届出提出が義務づけられています。届出事項は輸入者の氏名・住所から原材料、製造方法まで多岐にわたります。

    この届出の窓口となっているのが、全国の空港と海港に配置された32ヶ所の検疫所です。検疫所では、すべての届出を1件1件審査し、検査が必要な貨物と不要な貨物に分類しています。

    年間約240万件という膨大な届出件数を効率的に処理するため、システム化による業務効率化が重要な課題となっているのです。

    FAINSシステムの機能と利点

    厚生労働省では「FAINS(ファインズ)」というオンラインシステムを導入し、輸入食品の監視業務を大幅に効率化しています。FAINSは「Food Automated Import notification and inspection Network System(輸入食品監視支援システム)」の略称です。

    FAINSには一次審査機能があり、届出された貨物について検査の必要性を自動的に判定できます。また、海外で問題が発生した場合には、該当貨物を特定する情報を用いて届出情報にフィルターをかけ、迅速な対応が可能となっています。

    さらに重要なのは、複数の省庁にまたがる複雑な届出手続きが一度の入力・送信で済むようになったことです。これにより、輸入業者側の業務効率化にも大きく貢献しています。

    システム化による業務効率向上

    FAINSの導入により、審査の高速化だけでなく、手続きの簡素化も実現されました。従来は各省庁ごとに個別の手続きが必要でしたが、現在は一元化されたシステムで対応できるようになっています。

    当社でも、このようなシステムの利点を最大限活用し、お客様の輸入手続きを迅速かつ正確にサポートしています。長年の取り扱い実績を持つ欧州・アジアでのネットワークを活用し、現地での準備段階から日本到着後の手続きまで、一貫したサービスを提供しています。

    検疫所の役割と全国配置体制

    検疫所の配置状況と設備

    検疫所は、北海道から沖縄まで全国100ヶ所以上配置されており、このうち輸入食品の届出窓口は32ヶ所に開設されています。主要な空港や海港を中心とした配置により、効率的な監視体制が構築されているのです。

    特に注目すべきは、横浜と神戸の検疫所内に設置された輸入食品・検疫検査センターです。これらのセンターは高度な検査の拠点として機能しており、残留農薬の分析に不可欠なガスクロマトグラフ分析計や高速液体クロマトグラフ分析計など、最先端の検査機器が整備されています。

    また、遺伝子組換え食品の検査に用いる分析機器なども完備されており、精密で信頼性の高い検査に対応できる体制が整っています。

    食品衛生監視員の専門性

    検疫所での監視業務を担当するのは、食品衛生監視員と呼ばれる専門スタッフです。これは国家資格であり、一定の要件を満たした有資格者のみが従事できます。

    具体的には、医師、獣医師、薬剤師、栄養士、農学士など、高い専門性を持つ方々が監視業務に携わっています。現在、約400人の食品衛生監視員が全国の検疫所で活動しており、輸入食品の安全確保に日々取り組んでいます。

    このような専門性の高いスタッフによる厳格な監視体制があることで、輸入食品の安全性が保たれています。

    サンプリングによる検査手法

    検疫所では、外国から来たすべての貨物を開封して検査するわけにはいきません。そのため、統計学的に貨物を評価できる検体数を決めて、食品のサンプルを採取する「サンプリング」という手法を用いています。

    サンプリングでは、一定の法則に従って貨物から無作為に採取を行いますが、その前提として貨物の中身の均一性がある程度確保されている必要があります。中身がバラバラでは、検査したサンプルだけの評価となってしまい、貨物全体を正しく評価できないからです。

    もし検査で安全性が確認できない状況になると、「特定品目の輸入停止」という事態も考えられます。

    輸入食品の安全性確保のための3種類の検査

    必須検査としての「検査命令」

    検査命令は、食品衛生法上問題のある可能性が高い輸入食品について、厚生労働大臣の命令により輸入するたびに必ず実施される検査です。この検査は最も厳格なレベルの監視といえます。検査命令の対象貨物は、「輸出国」と「品目」の組み合わせによってあらかじめ決められています。

    代表的な例として、フグが挙げられます。フグには毒があるため、輸入可能なフグかどうかの確認を目的として、必ず検査が実施されています。このような厳格な管理により、消費者の安全が守られています。

    継続監視のための「モニタリング検査」

    検査命令の対象とならない貨物についても、継続的な衛生状況の監視が必要です。これが「モニタリング検査」と呼ばれる2つ目の検査で、年間計画に基づいて実施されています。

    なぜ継続的な監視が必要なのでしょうか?例えば、気候条件の違いにより、日本と海外では同じ作物でも発生する病害虫の種類が変わってきます。農薬の有効性は病害虫ごとに異なるため、同じ農薬でも使用量に差が生じ、結果として残留基準に合わない産物となる可能性があるのです。

    例年約10万件のモニタリング検査が計画されています。違反が確認された場合は、検査命令の必要性を検討するため、モニタリング検査の頻度を上げる検査強化措置も行われています。

    自主管理を促す「指導検査」

    食品を取り扱う業者には、生産現場から加工、流通まで、すべての過程において適切な衛生管理を行う責任があります。その管理には検査の実施も含まれているのです。

    検疫所では、輸入業者がその責任をきちんと果たしているかどうか確認を行っており、検査による確認が必要と判断された場合には、自主的な検査の実施を指導しています。これが「指導検査」です。

    この3種類の検査は、問題が確認される可能性に応じて段階的に強化されます。通常レベルの「指導検査」と「モニタリング検査」から始まり、その上の「検査命令」、さらに検査で安全性が確認できない場合には「包括輸入禁止」として輸入停止措置がとられることもあります。

    国際物流事業者による安全確保への取り組み

    多国間ネットワークを活用した品質管理

    当社では、イタリアとベトナムに駐在員を配置し、現地での品質管理から日本到着まで一貫したサポート体制を構築しています。このネットワークにより、日本を介さずに貨物を動かすことも可能で、効率的かつ安全な物流を実現しています。

    特に食品の輸送においては、温度管理、湿度管理、衛生管理が重要です。現地駐在員との連携により、出荷前の品質確認から輸送中の環境管理まで、きめ細かな管理を実施しています。

    当社では長年の取り扱い実績がある欧州・アジアを中心に世界各国での豊富な経験により、各地域の特性を理解した最適な物流ソリューションを提供しています。

    海上・航空・陸上すべての輸送手段への対応

    食品の種類や緊急性に応じて、最適な輸送手段を選択することが重要です。当社では、海上輸送、航空輸送、陸上輸送のすべてに対応し、お客様のニーズに合わせた柔軟な提案を行っています。

    例えば、冷凍食品の場合は温度管理が可能なリーファーコンテナを使用した海上輸送、緊急性の高い生鮮食品の場合は航空輸送といった具合に、商品特性に応じた最適な選択肢をご提案いたします。

    また、陸上輸送においても、温度管理車両の手配や積み替え時の品質管理など、食品特有の要求事項に対応した体制を整えています。

    法規制対応と手続きサポート

    輸入食品に関わる複雑な法規制について、当社では専門知識を持ったスタッフが適切なサポートを提供しています。農林水産省、厚生労働省、財務省の3つの省庁にまたがる手続きも、一元的にサポートいたします。

    特に初回輸入の場合は、必要書類の準備から検疫所での手続きまで、詳細なガイダンスを提供しています。また、定期的な法規制改正情報の提供により、お客様の継続的なコンプライアンス確保をお手伝いしています。

    輸送手段 適用商品 主な管理項目 当社の強み
    海上輸送 冷凍食品、加工食品 温度管理、湿度管理 リーファーコンテナ対応
    航空輸送 生鮮食品、緊急輸送 迅速性、温度管理 欧州・アジア直行便活用
    陸上輸送 国内配送、近距離輸送 積み替え管理、追跡 温度管理車両手配

    まとめ

    本記事では、輸入食品の定義から検査制度、そして安全確保のための実践的なポイントまで幅広く解説いたしました。

    • 輸入食品は「外国から日本に引き取られたあらゆる食品」で、船籍により判定される
    • 農林水産省・厚生労働省・財務省による管理体制で安全性を確保
    • FAINSシステムにより効率的な監視と手続きの簡素化を実現
    • 検疫所では専門スタッフによる3種類の検査(検査命令・モニタリング検査・指導検査・行政検査)を実施
    • 国際物流事業者による多国間ネットワークと専門知識が安全確保に貢献

    輸入食品の安全確保でお困りのことがございましたら、長年の取り扱い実績がある欧州・アジアを中心に世界各国からの食品輸入において強みを持つ当社にぜひご相談ください。豊富な経験と専門知識を活かし、お客様の事業成功をサポートいたします!詳しくはお問い合わせページから、お気軽にご連絡くださいね。

    一覧に戻る