食器の輸入と食品衛生法|規制対象から検査手順まで完全ガイド

  • DATE
  • 2025/08/13

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    みなさん、こんにちは!フライングフィッシュの広報担当です。最近、おしゃれな海外ブランドの食器や機能的なキッチン用品を輸入したいというお問い合わせが増えています。しかし、食器の輸入は食品衛生法の規制対象となるため、通常の雑貨輸入とは異なる手続きが必要なんです!

    食器は食品に直接触れるため、健康に影響を及ぼす可能性のある重金属や化学物質の溶出を防ぐ目的で、厳格な検査と届出が義務付けられています。この記事では、食器輸入の規制から具体的な検査手順、必要書類まで、初めて食器を輸入される方にもわかりやすく解説していきます。

    食器輸入における食品衛生法の規制対象

    食品衛生法が適用される理由

    食器類は食品に直接接触するため、食品衛生法の厳格な規制対象となっています。これは、食器に含まれる重金属や化学物質が食品に溶出し、人の健康を損なう可能性があるためです。

    食品衛生法では、人の健康を損なうおそれがある食器類の製造、販売、使用を禁止しており、販売または営業上使用する目的で食器類を輸入する場合は、必ず厚生労働省検疫所への届出が必要になります。

    規制対象となる具体的な商品

    食品衛生法の規制対象となる食器類は、想像以上に幅広い商品カテゴリーにわたっています。

    食器類には、お皿、フォーク、スプーン、お茶碗、コップ、ストロー、お弁当箱などの日常的に使用する食器全般が含まれます。また、調理器具として包丁、鍋、スライサー、お玉、トング、箸なども対象です。

    さらに、キッチン家電のうち食品と接触する部分も規制対象となります。コーヒーメーカーの水が通るチューブやコーヒー豆をストックする部分、ミルの部分、電子ジャーの釜部分、ミキサーなどがこれに該当します。

    意外なところでは、食品を扱う玩具の食品が当たる部分や幼児用玩具なども規制対象となることがあります。

    輸入目的による規制の違い

    食器類の輸入規制は、輸入目的によって適用が異なります。販売目的や営業上の使用を目的とした輸入の場合、食品等輸入届出と材質によっては規格検査が必要です。

    一方、個人使用目的の輸入であれば、これらの手続きは基本的に不要となります。ただし、商業目的か個人使用かの判断は、輸入数量や頻度なども考慮されるため、曖昧な場合は事前に確認することをお勧めします。

    材質別の検査要件と事前確認事項

    規格検査が必要な材質

    食器の材質によって、規格検査(自主検査)が必要かどうかが決まります。検査が必要な材質として、陶器(セラミック)製、プラスチック製、ガラス製、紙製などが挙げられます。

    これらの材質は、製造過程で使用される化学物質や添加剤が食品に溶出する可能性があるため、日本の基準値以下であることを証明する検査が義務付けられています

    特にプラスチック製品では、可塑剤や安定剤などの添加物質の溶出が懸念されるため、詳細な分析検査が求められることが多いです。

    規格検査が不要な材質

    一方で、規格検査が不要な材質もあります。スチール製、アルミ製、ステンレス製などの金属類は、基本的に規格検査は不要です。

    ただし、これらの金属製品でも注意すべき点があります。表面にコーティングが施されている場合は、そのコーティング材について検査が必要になる可能性があります。見た目は金属でも、実際にはコーティング処理されていることがあるため、製造仕様の確認が重要です。

    製品規格書の重要性

    輸入前の準備として、製品規格書の作成は必須です。材質が同じでも形状(カップ、皿、ボウルなど)が違う場合は、それぞれが検査の対象となります。

    色違いや柄違いも別検体とみなされるため、輸入予定の全ての商品バリエーションを明確にした規格書が必要になります。商品が大量の場合、事前に検査対象を明確にしておかないと、サンプリング時に問題が生じる可能性があります

    製品規格書には、材質、形状、サイズ、重量、デザインなどの詳細情報を記載し、製造工場で作成してもらうか、輸出者からの資料を基に輸入者が作成することも可能です。

    食品等輸入届出の手続きと必要書類

    食器の輸入には、税関への通関申告とは別に、厚生労働省への食品等輸入届出が必要です。この手続きの流れと必要書類について詳しく解説します。

    輸入届出に必要な基本書類

    食品等輸入届出には、複数の書類が必要になります。まず、製品規格書は製造工場が作成する材質・形状が分かる書類で、輸出者の提出する資料を基に輸入者が作成することも可能です。

    貿易関連書類として、輸出者が作成するインボイスとパッキングリストが必要です。また、輸送手段によって、航空輸送の場合はAIR WAYBILL(AWB)、海上輸送の場合はSEA WAYBILLとARRIVAL NOTICEが必要になります。

    これらの書類は貨物到着前に準備を完了させておくことで、スムーズな手続きが可能になります。

    食品等輸入届出の申請プロセス

    貨物が到着すると、空港や海港の保税蔵置場に保管されます。通関許可が下りるまで、貨物を引き取ることはできません。

    準備した書類をもとに食品等輸入届出書を作成し、必要書類を添えて食品監視課へ申請します。食品監視課は書類を審査し、食器類で規格検査が必要であることを確認すると、規格検査(自主検査)を受けるよう指導します。

    規格検査が不要な素材の商品であっても、食品等輸入届出は必須です。この点は多くの方が見落としがちなポイントですので、注意が必要です。

    規格検査(自主検査)の詳細手順

    規格検査が必要と判定された場合の具体的な手順について、段階を追って説明します。

    見本持出許可の取得

    保税蔵置場に保管されている貨物は、税関の許可なしに持ち出すことができません。規格検査のために検体をサンプリングし、検査機関へ輸送する必要があるため、事前に見本の一時持ち出し手続きが必要です。

    税関長へ見本持出許可申請書を提出し許可を得ることで、サンプリング作業を進めることができます。一時持出しされた見本は、原則として税関長の指定する期間内に保税地域に戻す必要がありますが、指定期間内に輸入許可を受けた場合は戻す必要はありません。

    サンプリング作業の実施

    サンプリングは保税蔵置場で実施されます。保税蔵置所スタッフの立会いのもと、第三者検査機関のスタッフが蔵置してある商品から必要数量を抜き取ります。

    抜き取られた残りの商品は、通関許可が下りるまで引き続き保管されます。サンプリングされた商品は検査機関の施設に持ち込まれ、有害な物質が検出されないかを検査します。

    検査結果は通常1週間程度かかりますが、検査内容によって期間は変動します。この期間中も保税蔵置場での保管料が発生するため、コスト面での考慮も必要です。

    検査結果と試験成績証明書

    分析の結果は、検査機関より試験成績証明書が発行されます。この証明書は非常に重要で、次回以降の同一商品の輸入時に規格検査を省略できるようになります。

    ただし、試験をクリアした検体のみが有効であり、型違い・色違い・材質違いの場合には使用できません。食品の場合は1年に1回分析検査を更新する必要がありますが、食器類は1回分析をして検査項目をクリアすれば、分析検査の更新は不要です。

    外国公的検査機関の活用

    条件を満たせば、輸出国で行った検査の試験成績書を利用することも可能です。厚生労働省に登録された外国公的検査機関で実施された検査であれば、日本での規格検査に代えることができます。

    この制度を利用することで、日本到着後の検査期間や費用を削減できる可能性があります。ただし、すべての検査項目が対象ではなく、輸送途上で変化するおそれのある項目は除外されるため、事前の確認が重要です。

    税関申告とHSコード・関税率

    食品等輸入届出済証が発行された後は、税関への輸入申告手続きを行います。食器類の関税率とHSコードについて詳しく解説します。

    材質別のHSコードと関税率

    食器類のHSコードは材質によって細かく分類されており、それぞれ異なる関税率が設定されています。

    材質 HSコード 関税率
    プラスチック製 3924.10-000 食卓用品・台所用品
    竹製のまな板 4419.11-000 関税率は品目により異なる
    竹製の割り箸 4419.12-100 関税率は品目により異なる
    その他竹製・木製 4419.90-900 食卓用品・台所用品
    磁器製 6911.10-000 食卓用品・台所用品
    陶磁製 6912.00-000 食卓用品・台所用品
    ガラスセラミック製・鉛ガラス製 7013.22-000 食卓用品・台所用品
    ステンレス鋼製 7323.93-000 食卓用品・台所用品
    銅製 7418.10-000 食卓用品・台所用品
    アルミ製 7615.10-000 食卓用品・台所用品

    関税計算の重要性

    輸入商材を販売する際、仕入原価の正確な把握は事業成功のカギとなります。関税は仕入原価の一部となるため、輸入前に最新の関税率を把握することで、適切な価格設定と利益計算が可能になります。

    関税率は定期的に改定されることがあるため、輸入のたびに最新の情報を確認することをお勧めします。特に、EPA(経済連携協定)やTPPなどの貿易協定により、特恵税率が適用される場合もあります。

    税関申告時の必要書類

    税関への申告時には、食品等輸入届出で使用した書類に加えて、食品等輸入届出済証が必要になります。これまでに準備した製品規格書、インボイス、パッキングリスト、運送書類一式などに加えて、厚生労働省食品監視課が発行した食品等輸入届出済証を添付します。

    これらの書類をもとに輸入申告書を作成し、必要書類を添付して税関へ申告します。審査が終了し、輸入関税・消費税を支払うと輸入許可となり、ようやく貨物を引き取ることができます。

    効率的な食器輸入の実践的アプローチ

    段階的輸入戦略の実践

    食器輸入において最もリスクが高いのは、大量輸入後に規格検査で不合格となることです。この リスクを回避するため、段階的なアプローチをお勧めします。

    まず、商品規格書(サイズ・重量・材質・デザイン)を準備し、専門業者に検査内容、検体の量、検査期間、費用を確認してもらいます。その後、航空輸送で必要最小限の数量を輸入し、規格検査の実績を作ることが重要です。

    この方法により、検査期間中の保管料を最小限に抑え、万が一検査不合格だった際の廃棄費用や積戻し費用も最小限に収めることができます。

    実績を活用した本格輸入

    航空輸送で規格検査の実績ができたら、この実績を使用して大量輸入に移行します。一度検査に合格した商品の試験成績証明書があれば、同一商品については再度規格検査を受ける必要がありません。

    この実績は海上輸送でも使用できるため、本格的な販売用の大量輸入では、コストの安い海上輸送を選択することが可能になります。実績を活用することで、時間とコストの両面で大幅な効率化が図れます。

    専門業者との連携メリット

    食器輸入は確認事項が多く、検査結果によっては輸入できないリスクもある複雑な分野です。そのため、経験豊富な専門業者との連携が成功のカギとなります。

    専門業者は材質ごとの検査要件や最新の規制情報に精通しており、事前相談により多くのリスクを回避できます。また、検査機関との連携により、検査期間の短縮や費用の最適化も期待できます。

    コスト管理と期間短縮のポイント

    食器輸入では、通常の貨物輸入に加えて検査費用や保管料が発生するため、コスト管理が重要になります。

    検査費用の事前把握

    規格検査の項目と費用は、商品の形状や素材によって大きく変動します。プラスチック製品では添加物質の溶出試験、陶器製品では重金属の溶出試験など、材質に応じた検査が必要になります。

    事前に検査内容と費用を正確に把握することで、適切な事業計画と価格設定が可能になります。また、複数の検査機関から見積もりを取得し、比較検討することも重要です。

    保管料の最適化

    検査期間中は保税蔵置場での保管料が継続的に発生します。検査期間は通常1週間程度ですが、検査内容や繁忙期により延長される場合があります。

    保管料を最小限に抑えるためには、事前準備の徹底と検査機関との密な連携が重要です。書類の不備や検体の不足により検査が遅延すると、その分保管料が増加するため、事前の確認作業が欠かせません。

    リードタイムの短縮方法

    食器輸入全体のリードタイムを短縮するためには、並行作業の活用が効果的です。貨物の輸送中に必要書類の準備を完了させ、到着と同時に手続きを開始できる体制を整えることが重要です。

    また、外国公的検査機関の活用により、日本到着前に検査を完了させることも可能です。この場合、日本での検査期間を大幅に短縮でき、早期の商品販売開始が実現できます。

    まとめ

    今回は食器輸入における食品衛生法の規制から実際の検査手順まで、包括的に解説してきました。食器輸入は身近な商材でありながら、食品衛生法の複雑な規制があるため、事前の十分な準備と専門知識が必要です。

    • 食器は食品衛生法の規制対象で、販売・営業目的の輸入には食品等輸入届出が必須
    • 材質により規格検査の要否が決まり、プラスチック製や陶器製は検査が必要
    • 段階的輸入戦略により、リスクを最小限に抑えた効率的な輸入が可能
    • 一度取得した試験成績証明書は継続利用でき、大幅なコスト削減につながる
    • 専門業者との連携により、複雑な手続きの効率化と確実な実行が実現

    フライングフィッシュでは、欧州・アジアでの豊富な経験を活かし、食器輸入の複雑な手続きから物流まで一貫してサポートいたします。長年の取引実績を持つ欧州・アジアを中心に世界各国からの食品輸入において品質確認や、検査機関との連携による効率的な手続き進行など、お客様の食器輸入事業を成功に導くパートナーとして、当社にお気軽にご相談ください!

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